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鶴見区障がい者権利擁護センター

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〒230-0051 横浜市鶴見区鶴見中央3丁目21番9号
東建シティハイツ鶴見中央202

親なき後の事例集

「親なき後のあんしんガイド」より

  • 事例1 親なき後はすべて兄弟姉妹に任せたい 

家族:両親は70歳代後半でともに健在
   長男(愛の手帳A2)グループホーム入所中
   週末もグループホーム
   次男は結婚、車で30分の距離に暮らす。
意向:兄弟仲良く次男の配偶者も長男の障がいに理解がある。
   相続予定の財産すべて次男に引き継ぎたい。
財産:戸建て持ち家、預貯金、先祖代々のお墓あり


〜アドバイス〜

 本人の暮らしをより豊かにするためには福祉サービスを活用しつつ、社会参加の機会を増やしてくことも考えてみましょう。大きなお金の管理は兄弟姉妹に任せて、定期的に給付を受けられる、家族信託生命保険信託を検討してみましょう。成年後見制度の利用も検討してみましょう。




  • 事例2 兄弟姉妹にはあまり負担をかけたくない

家族:両親は70歳代で健在
   長男に障がい(愛の手帳A2)があり
   両親と自宅で三人暮らし
   長女、次女はそれぞれ結婚し、子どもあり
   長女らにはお墓だけ頼み、自分の生活を優先して欲しい。
意向:相続される財産(マンション、預貯金)は長男が経済的に困らないようにしたい。
   親なき後はグループホームで。

財産:自宅マンション、預貯金

〜アドバイス〜

親が元気なうちに家族でよく話し合い、自分たちの思いを十分につたえておきましょう。相続のこと、住まいのこと、親が亡くなった後の葬儀や墓のこと、本人の後見人のこと等を話し合いましょう。例えば、成年後見制度を使うと、グループホーム施設入所、ガイドヘルパー、計画相談の利用、行政機関での諸手続き等を託すことができます。




  • 事例3 いとこが協力的なので何かお願いしたい

家族:両親とも80歳代、父親は胃がんで療養生活一人息子は軽度の知的障がい(愛の手帳B2)、現在は
   グループホームで生活しながら企業に勤める。身の回りのことや日常生活費の管理できるが、全体
   の財産管理は難しい。

意向:車で30分程度のところに仲の良いいとこ(母の妹の子)に託したい。
財産:本人の年金を貯蓄してきた、相続予定の財産は父親名義の自宅(戸建て持ち家)、賃貸アパート
   (一軒)、息子受取の生命保険、預貯金。先祖代々のお墓(電車で2時間ほど)


〜アドバイス〜

大きなお金の管理方法を考えておきましょう。軽度の障がいであれば、法定後見制度だけでなく、任意後見制度の活用も視野に入れるとよいでしょう。また、財産の管理方法として、家族信託の利用も想定できます。このケースの場合、いとこを受託者として、毎月一定額の生活費が振り込まれるよう設定しておきます。賃貸アパートの管理も依頼することができます。将来、本人が亡くなった後、残された財産をお世話になった施設に寄付するように指定しておくこともできます。


  • 事例4 銀行に後見人を選任するように助言されました

家族:母親は70歳代。最近父親が病気で死亡
   長女が重度の知的障がいと身体障がい(愛の手帳A2)、通所施設、短期入所を定期的に利用
   長男も同居であるが、非協力的
意向:父親の相続があり、長女に手続きに後見人が必要
   どのように手続きをし、相続の手続きをすればよいか。
財産:自宅(戸建て持ち家・父母共有名義)、預貯金(父親名義)

〜アドバイス〜

法定後見人の選任手続きをしましょう。相続人である親族を後見人に考えている場合、相続手続きのみ特別代理人を立てる必要があります。このケースでは、第三者の専門職後見人が想定されます。福祉サービスの活用があまりできていないので、福祉の専門家を後見人にするのが適当かと思われます。


  • 事例5 本人のことは心配。でも後見報酬が・・・

家族:父親死亡(享年60)、母親80歳代
   一人っ子である長女は障がい(愛の手帳B1)
   賃貸アパートに二人暮らし、生活保護を受給
   長女は通所サービスのみ利用
意向:母親は自分が亡くなった後のことを心配
財産:なし


〜アドバイス〜

すでに生活保護を受給していますので、経済的な面は特に準備をする必要はないでしょう。心配なのは本人の生活面を支援してくれる人の存在がないことです。まずは法定後見人の選任を申し立てましょう。生活保護を受給中ですので、家庭裁判所での手続きには、無料(低額)で利用できる法テラスに依頼することも検討してみましょう。
 第三者後見人の場合、報酬が必要ですが、一定の要件を満たせば成年後見制度利用支援事業という助成制度が利用できます。横浜市の場合、生活保護受給中の場合は助成制度が利用できます(自治体によって異なります)。後見人がつくと適切な福祉サービスの利用にもつながります。



  • 事例6 両親が会社を経営しています(会社の承継を検討しなければならない)

家族:父親、母親とも70歳代、父方祖母90歳代後半
   長男は40歳代、障がいあり(愛の手帳B1)
   
父親は町工場を経営、事務所兼自宅のビル所有、1階2階は会社で使用。3階4階が自宅。
意向:会社と障がいのある長男のために準備したい。信頼のおける社員Aがいるので、その社員に会社を譲り
   たい長男の生活も心配

財産:自社株、預貯金、自社ビル兼自宅、墓


〜アドバイス〜

 親が経営者の場合、会社からの給与で家族全体の生活を賄っている事がおおく、親なき後問題と深く関係してきます。できるだけ早い段階で、親の代で会社を畳むのか、続けるのかを選択し、確実に手続きを進めていきましょう。
 父親が亡くなった後の配偶者の生活、長男の生活が維持できるようしなければなりません。特に長男は若いので長期にわたって経済的に保障されるよう遺言書を書いておきましょう。また、会社承継のケースでは、信託財産の活用が有効です。長男の権利を護り、生活向上のためには後見人等を検討しましょう。


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